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墓誌の拓本取り

数日前の雪の影響でなかなか墓誌の拓本が取れないでいました。
墓誌の拓本取りは、新たにご戒名を彫らせていただく際に必要な作業です。

“拓本”というと、魚に直接墨を塗ってその上にぺたーっと紙を被せて写す“魚拓”をイメージされる方が多いと思います。
例にもれず私も最初「墓誌の拓本を取る」と聞いたとき、「えー!墓誌に墨を塗りつけて原状復帰できるのか?大変な作業だ!」と驚嘆したものです。
実際にはどうやるのかと言いますと、墓誌にFAXの感熱紙をマスキングテープで固定し、その上から文字の部分をギュッギュギュッギュ擦っていきます。(うちではラップの芯を使って擦ります)
すると墓石を汚すことなく墓誌の文字を写せるというわけです。
その際に墓石が少しでも濡れていると、擦ったときに感熱紙がボロボロになってしまいます。
なので雪による湿りが消失するのを待っていました。

他人様のお墓に張り付いてゴシゴシと棒を擦りつけるわけですから、依頼された業務とはいえ最初は幾分後ろめたく感じたものです。
もちろん一礼してから作業させていただくのですが、ご納骨されている方々から疎ましく思われているんではなかろうかとの懸念が払拭されずにおりました。
しかしあるとき、“見える”という方と偶然同席いたしました際に「憑いていない」との太鼓判をいただきまして、ホッと一安心、それからは堂々と拓本を取らせていただいております。
考えてみればお客様、ひいてはそのご先祖様の御墓所を次世代へとつなぐ大切な作業、恨まれる覚えはございません。
今後も先に入られている方々に「ちょっと失礼いたします」のお声がけを忘れず、墓石を傷つけないように、細心の注意を払ってまいりたいと思います。

もうひとつ心配していることがありまして。
墓誌の拓本取りにかかせないFAXの感熱紙、一体いつまで市場に残っていてくれるのでしょうか。
他に感熱紙を使っているものと言ったら、レジのレシートくらいしか思いつきません。
ちょっとしんどいですね、あの幅の細さで拓本とるのは。
なのでFAX業界にはくじけず末永くがんばっていただきたいです。

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